2024.12.05
商品に安心を付けて販売する“町の自転車屋さん”|オートサービス和光
Z ZONEがおくる、“町の自転車屋さん”のインタビューシリーズ。
第十六弾は、都営地下鉄新宿線大島駅A1出口より徒歩2分に位置する「オートサービス和光」さん。
大島駅は、豊かな自然と住宅街が共存する下町です。その一画にある「オートサービス和光 本店」には、自転車の豊かな知識と確かな腕を求めて多くのお客さんが訪れます。
今回は、二代目の髙島秀樹さん、三代目の髙島勇さんから、お店の歴史やこだわりなどについてお話をお伺いしました。世代も地域も越えて常連客が通い続ける、お店の裏側に迫ります。
創業76年の老舗
―本日はよろしくお願いします。まず、お店の歴史を教えてください。
秀樹さん:昭和23年3月『髙島自転車店』という名で、先代が仮店舗にて営業をはじめました。今の店舗から1.5キロぐらいの明治通り沿いです。
昭和30年3月に『和光輪業商会』と名を変えて、この地に移転してきました。私が4歳の時に営業を開始したので、今年で創業76年です。
平成6年4月に『オートサービス和光 西大島』支店を出店しました。創業時の仮店舗のすぐそばです。現在は2店舗を運営しています。
―秀樹さんは、いつからお店で働いているのですか?
秀樹さん:自慢するわけじゃないけど、小学4年生ぐらいからですね。
私が中学生の時に、一年程、亀戸に支店を出したんですよ。その時も働きながら、支店から中学に通っていました。
――自転車一筋の人生ですね。
秀樹さん:仕事が好きなんだね。
―現在は自転車とバイクの店ですが、いつからバイクを取り扱うようになったのでしょう?
秀樹さん:昭和30年頃から、自転車にスズキの『ダイヤモンドフリー号』というエンジンを取り付けた自転車を発売しました。スピードが出るんで、お客さんが楽しんで乗っていました。当時、大島は鉄工所の街で、エンジンが付いた自転車は工場に通勤する人に好評だったんですよ。これがバイクを販売するきっかけですね。
そのうち、山口自転車の『オートペット』という50CCエンジンが付いた本格的なオートバイスタイルのバイクが出ます。すごい売れたんです。
当時、人気で品薄だったこのオートバイ。他店で入手困難でしたが、メーカーと繋がりがあって、お客さんに販売することができたんですよ。
ただ、どの自転車もあまり性能は良くないんですよ。直しても直しても壊れての繰り返しで……(笑)
ヤマハのスクーターが出た頃から、性能がうんと良くなりました。
―バイクの販売にも長い歴史があるのですね。
今はない構造の自転車技術を親子で継承
―スタッフについて教えてください。
秀樹さん:現在、スタッフは4人です。営業が2人、事務が2人です。
営業は私と息子が担当しています。従業員も家族同様の仲です。仕事面でもよく働いてくれています。
西大島の店舗にも、もう一人スタッフがいます。支店を出してから入ってもらい、もう25年ほど勤めていますね。
勇さん:オープンから10年程は、僕も西大島店で働いていました。オープン時に入ったスタッフが、現在は西大島店を一人で切り盛りしています。
―親子で店に立つ良さはありますか?
勇さん:家族だから、良くも悪くも言いたいことを言えますね。
あとは、昔の技術は父親に教えてもらうことが多いです。今は、ほとんどなくなったような構造の自転車やバイクもありますからね。
―店を継ぐ際に、自転車・バイクの技術は、お父さまに教えてもらいましたか?
勇さん:それもありますし、整備の学校にも通っていました。
あとは仲間うちから情報を共有して学ぶこともありますね。
――勇さんは、最初からお店を継ぐ気はあったのでしょうか?
勇さん:ないですよ。強制でした(笑)
―秀樹さんは継いでほしかったんですよね?
秀樹さん:そりゃそうですよ。うまく流れに乗ってくれて良かったです(笑)
自分の目で見てこだわり「良いもの」しか販売しない
―お店のこだわりはありますか?
秀樹:常に商品に興味を持ち、商品の良い悪いを確認して販売をしています。
例えば、電動バイクだと、メーカーが「20キロ走りますよ」と言った場合は、帰りの分を考えると10キロ程しか走れません。20キロ走っても、行って帰って来れなければ、困りますからね。それだと販売できません。
やっぱり、最低100キロは走ってくれないとね。100キロあれば50キロ先には行けます。
電動自転車もはじめは性能が悪かったんですよ。オススメできないメーカーもありました。当時は、お客さんから希望されたら「そのメーカーは良くないですよ」と伝えてオススメしませんでした。自分たちが良くないと思っているものを「良いですよ」と言って売ることはありません。
―お客さんはどのような方が多く来られますか?
秀樹さん:年齢性別を問わず幅広い方が、ご来店されますね。
勇さん:近所の方も多いですが、遠くに住む常連さんもいらっしゃいます。一番遠い方は、茨城県神栖市の方ですね。バイクで来られて整備にだして、高速バスで帰られます。
―遠くからも来られているんですね!
勇さん:以前はインターネットで販売もしていたんですよ。その方は、ネットで購入されて以来、ずっと来店されています。近くに住んでいた方が引っ越した後も、ウチで購入をされるケースも多いです。隣接区はもちろん、市川や船橋、千葉市、練馬、品川、世田谷、三多摩、横浜、川崎、草加、川口、大宮他、結構広い地域から来られています。
―昔からの常連さんは多いですか?
秀樹さん:昔からの常連さんは年齢が高齢化しちゃって少なくなりましたね。今は、そのお子様・お孫様などが来られます。
―親子代々で常連さんなんですね。お子さんも来られますか?
勇さん:来られますよ。子乗せ自転車を販売すると、その後にメンテナンスで通われます。来店される中で、お店を気に入っていただいて娘さんや息子さんが自転車に乗れるようになった時に、子供用の自転車も買いたいので見繕ってほしいと頼まれます。
お子さんが中学生、高校生になっても、家族みなさんでご利用いただいております。
ご家族で利用いただけた時は、日常の仕事を認めて頂けてるのかなとうれしく思い、やりがいを感じる瞬間でもあります。
年を重ねた今でも指名が入るのがやりがい
―地域の自転車屋さんとの交流はありますか?
秀樹さん:毎月ある自転車組合の役員会では、地域の仲間と集まってコミュニケーションをとっています。地域の活動でいうと、他の自転車屋さんと一緒に警察のキャンペーンも行っています。最近だと、江東区の区民センター前で盗難防止キャンペーンをしました。その時は、ティッシュなどを配布して盗難防止を呼びかけましたね。
――仕事のやりがいはどのような時に感じられますか?
勇さん:修理したり購入してもらったりした後に、大半の方が「またお願いします」って言って帰られるんですよ。喜んで帰られる。その姿を見た時は、ありがたいなと思います。お店を気に入って言ってくれるんでしょうしね。
――秀樹さんはどのような時にやりがいを感じますか?
秀樹さん:今も仕事ができている。それがやりがいですね。年齢的にはもう引退ですからね。
勇さん:昔からの自分のお客さんが来てくれていることがやりがいじゃないの? 父を目当てに「今日はいないの?」って来る方も多いんですよ。
秀樹さん:そうですね。まだ、私を指名してくれるお客さんも何人か居ますね。ありがたいですね。
―印象に残っているお客様とのエピソードはありますか?
秀樹さん:若い時は、お客さんと一緒に仙台までツーリングに行ったことあります。費用全部出すから行ってくれって言ってくれて誘われたんですよ。あとは城ヶ島も行きました。午後三時頃に一緒に行こうって誘われて、お店を閉めて行きましたね(笑)
あとは日光に行ったな。どれも印象に残っていますね。
後継者を育てたい
―今後の目標はありますか?
勇さん:今来ているお客さんの、自転車やバイクの面倒をちゃんと見続けたいとは思っています。そのためには、スタッフを確保できれば一番いいんでしょうね。
今はどこの企業もそうだけど、従業員が不足している。募集してもなかなか入ってこない。特に、自転車・バイク業界で働きたい人は少なくなっていますね。
秀樹さん:汚れる仕事だから嫌なのかもしれませんね。
勇さん:あとは乗り物ですし、責任がありますからね。責任を嫌がる若い人も多いのかもしれません。ただ、それでもやりたい人がいたら面倒を見てあげられればとは思っていますね。
―育てたい気持ちがあるということでしょうか?
勇さん:もちろんそうです。当然、自分も高齢化していきますしね。
-最後に、お店に来店されるお客様にメッセージをお願いします。
勇さん:当店を選んでいただければ後悔ないと自負しています。値段の安さで勝負をしている販売店とは違って、僕たちはメンテナンスなどのアフターサービスにも力を入れています。これからも商品に安心をつけて販売していくので、ぜひ足を運んでください。
-貴重なお話ありがとうございました!
おわりに
『オートサービス和光』には、遠方からもたくさんの常連客が来られます。
常連さんとの会話も、自転車やバイクのことだけでなく、お客さまの近況など話されている方も多くいらっしゃいます。それも秀樹さん、勇さんの人柄あってからこそ。
自転車やバイクで、何か気になることがある方、相談ごとがある方は、まず『オートサービス和光』に足を運んでみてください。きっと、髙島さん親子が良い解決方法を見つけてくださるに違いありません。
【Infomation】
店名:オートサービス和光 本店
住所:東京都江東区大島5-6-12
電話:03-3681-9221