Z ZONE

2022.08.31

親子二代で経営。創業100年の歴史がある、足立区梅島の“町の自転車屋さん”|日比谷サイクル


Z ZONEがおくる、“町の自転車屋さん”インタビューシリーズ。
第十一弾は、足立区梅島にお店を構える日比谷サイクルさん。
梅島駅から真っ直ぐ650m、西新井駅から610mに位置し、近隣には小学校もあり、子どもの姿も多く見受けられるお店です。
今回は、1908年にオープンし、長い歴史を持つ日比谷サイクルさんに、お店の変遷や親子二代での経営について、三代目 日比谷次男さん、四代目 浩太さんにお話を伺いました。地域の人々に愛されるお店の経営術に、ぜひ触れてみてください。

創業100年を超える、老舗自転車屋

―本日はよろしくお願いします。

左:日比谷浩太さん 右:日比谷次男さん

―まず、日比谷サイクルの歴史について教えてください。

次男さん:創業は1908年です。貸し自転車・修繕屋としてオープンしました。私が三代目で……

浩太さん:僕で四代目です。

―創業からずっと同じ場所でお店を開いているのでしょうか?

次男さん:ずっとここだね。昔、ここはドブ川だったの。ドブ川の上に丸太渡して、その上で店をやっていたんだよ。
今の建物は東日本大震災の時に、広範囲に揺れて二階の扉が開かなくなったのをきっかけに建て替えたんだね。

日比谷サイクルの変遷

現在の日比谷サイクルの内装。空が描かれた天井、オシャレな時計が店内のいたるところに

コロナ禍で変わった客層

―浩太さんはいつ頃から、経営に携わるようになったのでしょうか?

浩太さん: 2018年の秋からですね。母が亡くなり、父一人でやっていくのが厳しくなったことがきっかけです。

―浩太さんは、お父さまと一緒に働くようになって改めて気付いたことはありますか?

浩太さん:長年の経験による父の技能はすごいなというのが一つ。あとは、思った以上に忙しいんだなと思いました。

―日比谷サイクルはどのようなお客さまが多いのでしょうか?

浩太:基本的には地域に住んでいる方がメインです。自転車を売るだけの量販店はいくつかあるのですが、量販店は預かり修理をすることが多いので、すぐにやってくれるところを探して広域からお客さんが来られます。

コロナ禍の時は、UberEatsの配達員の方がよく修理に来られていました。後ろのスポークが折れちゃいました、タイヤがすり減ってダメになっちゃいましたとか、パンクしちゃいましたとか……

―コロナ禍ならではの新しい顧客ですね。

浩太さん:ただ、最近は見かけないですね。一時的に配達員をされていた方も、みんな本業に戻ったのだと思います。

―その他、コロナ以降での変化は感じられましたか?

浩太さん:電車に乗りたくないから、自転車通勤をはじめたいと購入される方が増えました。
あとは、男性のお客さんが増えた気がします。在宅勤務になって、自転車を使う頻度が増え、ずっと乗ってなかった自転車を引っ張り出してきたら、パンクなどの不具合で持ち込んでくる方が多くいらっしゃいます。

子どもの成長が感じられる地域密着型店舗

―日々の仕事のやりがいは、どういう時に感じますか?

浩太さん:お客さんが気に入った自転車見つけてくれたり、修理して喜んでくれたりすると、良かったなと思いますね。

次男さん:もう何十年もやっている仕事なので、やりがいを感じることはあまりないですね。

浩太さん:父はお客さんと喋るのが好きなんですよ。昨日もずっと長話をしていました(笑)

―お客さまとの印象的なエピソードはありますか?

浩太さん:2018年の冬に子乗せの自転車を買ったお客さんがいらして、その時は、まだ抱っこされて小さかった赤ちゃんが、この前3年ぶりにやってきて「コレが乗りたい!」って、オレンジ色のミッフィーの自転車買っていたんですね。そういうのを見るとうれしいですね。

―地域密着型ならではのエピソードですね。

自転車を購入してくれたお客様向けノベルティ「Z ZONE」の名前入りボールペン

地域の自転車屋さんを守っていきたい

―これから来られるお客さまに向けてなにかメッセージはありますか?

浩太さん:部品を交換すればまだ乗れるような自転車はたくさんあります。でも、知らない人が結構いるんですよ。例えば、ブリヂストンの高級自転車は消耗品でなく耐久品という考え方で、タイヤがダメになったら交換すればまだ十分に乗れるんです。ですから、なにか困ったことがあったら、新しい自転車を購入する前に、一度、声をかけてほしいですね。

閉店した自転車屋さんにいただいたというレトロな自転車

―最後に今後の日比谷サイクルの展望はありますか?

次男さん:地域の自転車屋さんを守っていきたいですね。息子にも早く結婚してもらって、五代目を作ってほしいと思っています。そのためにも給料も休みもたくさんあげないと(笑)

おわりに

取材のアポイントの時、次男さんが「取材中にお客さまが来たら優先させていただきます」と話していたのが印象的でした。

取材中も来店されたお客さまに、お二人とも自転車の修理だけでなく、自転車の乗り方のアドバイスなどもされており、本当にお客さまのことを考えているのがよくわかりました。

近隣で、自転車のことでなにか悩みのある方はぜひ日比谷サイクルさんに、相談してみてください。きっと求めていた以上の素敵な答えを出してくれるに違いありません。

【Information】
店名:日比谷サイクル
住所:東京都足立区梅島3丁目42−13
電話:03-3886-6815