Z ZONE

2021.04.22

86年以上の月日を、町とお客さんに寄り添って。中野区弥生町の “町の自転車屋さん” | 小林輪業

Z ZONEがおくる、“町の自転車屋さん” のインタビューシリーズ。

記念すべき第一弾は、中野区弥生町にて86年もの長い間自転車小売業をつづけられている、小林輪業さんです。

周囲には大きな公園や学校などがあり、地域のファミリー層によって支えられているというお店。

店主の小林 勉(こばやし つとむ)さんへのインタビュー、ぜひともお楽しみください。

幅広い層のお客さんに支えられて、お店がつづいていく

小林輪業の三代目店主・小林 勉さん

ー本日はどうぞよろしくお願いいたします!

小林さん:よろしくお願いします。インタビューを受けることはあまりないので、ちょっと緊張しますね(笑)。ぜひなんでも聞いてください。

ーまずはじめに、お店の歴史から。小林輪業さんは、いつ頃できたお店なんですか?

小林さん:昭和9年の創業ですね。僕が生まれるずっと前からお店があったようで。当時は自転車のフレームをつくったり、オートバイや軽四輪(自動車)を扱うお店だったそうです。また、それらに加えて、今で言うところの “レンタサイクル(自転車貸出)” の仕事もしていたのだとか。

小林さん:今はフレームの製作やレンタサイクルではなく、自転車の小売業や修理業をおこなうお店、いわば “町の自転車屋さん” として営業しています。

ーお店に来られるお客さまは、どのような方が多いのでしょうか?

小林さん:このあたりは意外と下町っぽい雰囲気があり、昔から家族で住まれている方も多いのだそうで、ファミリー層が多いですね。ただ、ここ10年ほどで少しずつ変わってきたところもあり、一人でお住まいの方も増えてきました。お子さま連れの方から若い方まで、幅広い層のお客さんに来ていただいています。

 

変わりゆく時代に対応する、小林輪業のあり方

ーお店の特徴としては、どんなものが挙げられるでしょうか?

小林さん:ファミリー層向けに、電動自転車の取り扱いを多くしています。昔は10台ほどしか置いていなかったのですが、ここ最近は電動自転車を求めてお店に来てくださる方が多いので、20〜30台はかならず置くことにしました。需要に合わせて柔軟にラインナップを変えていく、というのは特徴のひとつかもしれませんね。

ーたしかに、「電動自転車の需要が高まってきた」というのは聞いたことがあります。

小林さん:ただ、きっとどこの店も同じだと思うのですが、ここ最近は修理業がメインになってきたようにも思えるんですよね。「自転車を売る」という業務よりも、「自転車を修理する」といった業務が増えてきたなぁ、と。

ーほうほう。

小林さん:ほとんどのお客さんが、今はインターネットを通じて自転車を買っているんですよね。また、大型量販店で買う方もすごく増えました。そのようなお客さんの自転車を修理する機会が、ここ最近は特に多くて。時代が変わってきたなぁ、という実感が強くあります。ただ、そのようなお客さんを排除することはもちろんなく、うちを頼ってくださるお客さんであればどんな方でも対応していますよ。

ーお、二代目店主の小林さんの姿も。

小林さん(二代目):わたしはあまりお店に立たず、息子(三代目店主)と一緒に仕事をすることはほとんどないのですが、たしかに近ごろは「修理仕事」が増えてきましたね。特に多いのが、電動自転車の修理。あらためて、時代の変化を感じます。

小林輪業が見据える、これからの未来について

ーでは最後に、お店として目指していく未来について教えてください。

小林さん:二代目店主の父がお店を運営していた頃から、僕が店に立つようになった今まででも、かなり多くの変化がありました。町のあり方も、お店のあり方も、そして、お客さんのあり方も。

小林さん:これから先は、若い方が従業員としてお店に入ってくれたら良いなぁ、という気持ちがありますね。それによって、またお客さんの層も変わってくるだろうし。その時々に合ったお店のあり方を追求して、お客さん全員に喜んでもらえるような仕事をずっと続けていきたいと思っています。

おわりに

『緊張します……』とは言いつつ、終始なごやかなムードでお話を聞かせてくださった小林さん。取材の最後には、二代目店主のお父さまもお店の外まで出迎えてくださり、取材陣を見送ってくれました。

時代の流れに添うように、柔軟な考えとあたたかな雰囲気でお店をつづけてきた小林輪業さん。中野区弥生町にお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。きっと、たくさんの自転車に囲まれ、にこやかな笑顔で働く小林さんたちに出会えるはずです。

【Infomation】
店名:小林輪業
住所:東京都中野区弥生町3-26-5
電話:03-3372-5587